抄録
【目的】最近、高齢者が咀嚼し易い食べ物として、また携帯に便利な食物として寒天、ゼラチン、カラギーナンなどを用いたゲル状食品が用いられるようになって来た。しかし、加工・調理に使用される食品用フレーバーのゲル中における挙動、特に拡散現象に関する基礎的な研究はほとんど行われていない。そこでバニリンなどのフレーバーを取り上げて、寒天ゲル中における拡散現象をFID-GCおよびGCMSにより追跡することを目的とした。
【方法】バニリンをエタノールに溶解し、滅菌した寒天溶液に無菌的に添加して撹拌後、円筒形のシリンダーに流し込んで固化させた。(寒天第1層)次に、この上へ1.5%寒天のみを無菌的に重層して固化させた。(寒天第2層)これを一定期間置いた後、プランジャーで寒天第2層を押しだして薄片(厚さ5mm)を切り出した。各薄片を摩砕してからエタノールで抽出し、FID-GCおよびGCMSでフレーバーを同定して拡散距離に対するフレーバーの濃度を求めた。
【結果】フレーバーを寒天第2層中に充分拡散させるために最長4ケ月間、無菌的にシリンダー内で寒天をインキュベーションし、FID-GCでオイゲノールを内部標準としてバニリンを定量した。寒天第2層までフレーバーが拡散していることが確認された。第1層との界面からの距離が1.0cmまでは急激に濃度が減少したが、1.0cmから3.5cmの間では距離に応じて濃度が直線近似的にゆるやかに減少した。