日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成24年度日本調理科学会大会
セッションID: 2P-43
会議情報

ポスター発表
低たん白素材「こんにく」のたん白制限食への利用可能性
*魚住 惠菊池 香草彅 しおり戸羽 美里
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
〔目的〕「こんにく」は、おからとこんにゃくを主原料とし、動物性食品を含まないので、マクロビオテックの調理素材としての利用や、ダイエット食への利用を目的に開発された肉の食感をもつ低たん白素材である。そのまま塊の肉と同様に調理したり、細かく刻んで挽肉の代わりに使用したりすることができる。 この素材を、腎臓病などのためにたんぱく質を制限されている患者食として利用できないかと考え、その可能性を検討した。〔方法〕透析専門外来のある病院の1ヶ月間のたん白質制限献立表の主菜について、その特徴を調べた。また、腎臓、糖尿病等の専門病院が公表している低たん白食レシピ集の主菜について栄養評価をおこなった。「こんにく」を塊のまま使用する料理3種と挽肉状にして使用する料理3種をつくり、各料理の栄養価を評価し、官能評価をおこなった。さらに、こんにくと肉の併用割合を変えた料理のたんぱく質の質評価をおこなった。つくった料理の評価結果を、市販の低たん白食品の栄養価と比較するとともに、先に調べた病院におけるたん白質制限食の特徴や、低たん白食レシピ集の栄養評価結果と照合して「こんにく」のたん白制限食への利用可能性を検討した。
〔結果〕つくった「こんにく料理」のたんぱく質量の平均値は、市販品の数種の低たんぱく食品の平均値と比べて2.4g低く、エネルギーは45kcal低かった。一方、「こんにく料理+PLCごはん」と「低たん白食レシピ集の料理+PLCごはん」のアミノ酸スコアを比較した場合、こんにく料理に加える肉割合を変えることにより、高いアミノ酸スコアを維持しつつ、食事中のたん白質の量を自由に変えたり、食事全体のボリューム感を上げることが可能であったことから、高アミノ酸スコア、低たん白質量に加え、食事全体のボリューム感が求められるたん白制限食に対して、「こんにく」の利用が有効であることが確認できた。
著者関連情報
© 2012 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top