理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: BP111
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運動・神経生理
トレッドミル走行が老化促進マウスのヒラメ筋に及ぼす影響
*榊間 春利吉田 義弘森本 典夫鈴木 秀作
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抄録
【はじめに】筋重量の減少は老化現象の一つである。さらに、筋線維数や断面積の減少、特にタイプII(速筋)線維が減少するという報告されている。今回、老化促進マウス(senescence-accelerated mouse: SAM)を使用しトレッドミル走行が下肢の抗重力筋であるヒラメ筋に及ぼす影響を組織化学的に検討した。【対象と方法】SAMP系統は、正常マウスに比べ比較的若齢期より活動性の低下、脱毛、脊椎前後彎の増強などを示し寿命が短い。今回の実験には雄のSAMP1を使用した。最初に、4、12、24、40、50、56週齢(各5匹)の両側下肢よりヒラメ筋を採取し、SAMヒラメ筋の加齢による変化を調べた。対象としてICRマウスの12、30、50、56週齢(各3匹)のヒラメ筋を採取した。さらに、運動による影響を調べるために、50週齢のSAMとICRマウス(各3匹)に6週間のトレッドミル走行を行い、6週後にヒラメ筋を採取した。運動強度は最初の1週間は10°の傾斜で10 m/min、10分2回行い、6週後には10°の傾斜で20 m/min、20分2回に徐々に強度を上げていった。採取したヒラメ筋は筋湿重量を測定後、凍結固定した。切片を作成し、ヘマトキシリン・エオジン染色、ATPase染色(pH10.3、4.3)、NADH-reductase 染色を行い、筋線維タイプ構成、筋線維タイプ別横断面積、異常な筋線維数を測定した。【結果】SAMヒラメ筋の筋湿重量は24週齢(36 mg)まで増加し、その後50週齢(37 mg)まで大きな変化は見られず、56週齢には29mgに減少した。SAMのタイプI線維の横断面積は24週齢まで有意に増加し、その後56週齢まで大きな変化は見られなかった。タイプII線維の横断面積も同様に増加したが、40週齢と比較して56週齢では有意に減少した。SAMヒラメ筋のタイプII線維の割合をATPase染色で調べると4週齢52%、12週齢44%、24週齢43%、40週齢42%、50週齢40%、56週齢36%であった。週齢による異常な筋線維数の変化は見られなかった。運動によりICRマウスの筋線維横断面積はタイプI、II線維ともに有意な増加が見られたが、SAMの筋線維横断面積にはタイプI、II線維ともに有意な増加は見られなかった。また、運動によるタイプII線維の割合に大きな変化は見られなかった。異常な筋線維数は運動群のSAMにおいて中心核線維やmoth-eaten fiberなどの異常な筋線維数が非運動群と比べ有意に増加していた。【考察】今回の結果より56週齢においてSAMヒラメ筋湿重量やタイプII線維の割合の減少、有意なタイプII線維の横断面積の減少が観察された。これはSAMのヒラメ筋において、加齢による変化が起きていると考えられた。また、トレッドミル走行により、ICRマウスのヒラメ筋では運動負荷に対する適応能力があり、筋線維の肥大が生じ、SAMでは運動負荷に対して適応が不十分であり、筋線維に障害を生じたと考えられた。今後、老化骨格筋に対する運動強度、頻度などの設定を検討する必要がある。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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