Dental Materials Journal
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カルシウムイオンがアパタイト生成に及ぼす影響
石川 邦夫Edward D. EANES浅岡 憲三
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1994 年 13 巻 2 号 p. 182-189,271

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抄録
カルシウムイオン(Ca2+)がアパタイト(HAP)生成に及ぼす影響を検討した.Ca2+が存在しない条件を含む種々のCa2+濃度(0-200mM)において無水リン酸水素カルシウム(DCPA)の加水分解をpHスタットを用いて行った.加水分解速度は滴定速度から,また得られたHAP結晶の結晶性を粉末X線回折法により測定した.Ca2+が存在する場合,その非存在下と比較して,加水分解速度が非常に促進され,またHAPの収率は約2倍になった.一方,加水分解速度,HAPの収率はCa2+濃度(25-200mM)には影響を受けなかった.溶液化学平衡計算によればCa2+が存在する場合,その非存在下に比較して非常に少量のDCPAが溶解すれば溶液がHAPと平衡になることが示された.従って我々はCa2+がDCPAのような酸性リン酸カルシウムの加水分解に重要な役割を果たすと結論した.
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