応用生態工学
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事例研究
UAV による多時期撮影画像を用いた水平方向の位置精度検証
丹羽 英之
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2016 年 19 巻 1 号 p. 47-53

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抄録

深泥池湿原で UAV を用いて 9 回撮影した画像からオルソ画像を作成した.水平方向の位置精度を検証するための地物を 4 箇所選定し,撮影回ごとの地物の位置のずれを集計し,位置取得方法の異なる 3 つの処理方法を比較した.地図から取得した GCP を用いる方が GNSS から取得した GeoTag を用いるより,水平方向の位置精度が高く,両者を併用すると最も位置精度が高くなることがわかった.最も位置精度が高かった併用する方法では,ポイント間距離の平均値は 0.46 m であり,草本植物を主体とする湿地植生の経時変化を把握するために用いることができる位置精度だと考えられる.しかし,最も位置精度が低かった GeoTag を用いる方法では,ポイント間距離の平均値は 1.83 m であり,湿地植生の微細な変化を捉えるには,誤差が大きいと考えられる.一方,地図から GCP を取得する方法では,地図の準備や GCP の設定に作業時間を要するが,GeoTag を用いる方法では,位置情報を取得するために別途作業は必要ない.UAV の大きな利点である空撮の手軽さを活かすのであれば,GeoTag を用いる方法が優れている.そのため,明らかにしようとしている事象に見合った方法を選択することが重要である.

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© 2016 応用生態工学会
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