森林総合研究所研究報告
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ワラビ(Pteridium aquilinum subsp. japonicum)の生育と、2011年の福島第一原子力発電所事故で放出された放射性セシウムのワラビ中の動態
清野 嘉之 赤間 亮夫岩谷 宗彦由田 幸雄志間 俊弘
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2021 年 20 巻 2 号 p. 83-100

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抄録
ワラビ(Pteridium aquilinum subsp. japonicum)はシダ植物で幼葉を食用にする。ワラビの生育と2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故で放出された放射性セシウムのワラビ中の時間的挙動を明らかにする目的で、放牧跡地のワラビ群落を2017年から調べた。また、ワラビの放射性セシウム濃度抑制のためのカリウム(K)施用効果の試験を行った。ワラビのバイオマスは葉が生きている春から秋は葉に約4割、地下器官(地下茎と根)に約6割が存在した。全草バイオマスには大きな季節差はなかった。ワラビのセシウム 137(137Cs)濃度は幼葉や成葉、地下器官など部位ごとに、その季節性を反映して変化傾向はさまざまであったが、全草濃度は漸減した(P = 0.023)。低下傾向は指数関数で近似でき、低下速度は年27%であった。2017年6月のK施用後、ワラビ全草のカリウム40濃度は8月頃から翌年3月まで対照区より高くなった。また、137Cs濃度は対照区の約7割に抑制された(P < 0.001)。
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