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顕微赤外分光法は、非等核結合の検出に優れており、約10μmの空間分解能での非破壊局所分析が可能である。これまでに顕微赤外分光法は原生代のアクリタークや原核生物化石といった形態分類が困難な試料に適用され、微化石を化学組成で分類する上で有用となり得る官能基が報告されてきた。しかしながら、顕微赤外分光法による微化石分析では検出された官能基が微化石構造中のどの部分から検出されたかを特定することが難しい場合がある。これは通常の顕微赤外分光法の空間分解能が10μm-20μm程度であることに起因する。大型放射光施設の赤外光を利用した顕微赤外分光分析では、高輝度の光源を利用できるため、従来より高い空間分解能の分析が期待できる。本発表では、放射光赤外顕微鏡が微化石の高空間分解能分析を可能にすることを実証するために、原生代原核生物化石のマッピング測定を行った結果を報告する。