過去の渦鞭毛藻生産を理解するために,抵抗性高分子で構成される渦鞭毛藻シストが用いられてきた。Alexandrium catenella/pacificumは分解に弱い単純楕円形で無色のシストを形成する。本研究ではA. catenella /pacificumシストを赤外分光分析し,他の有機質微化石(パリノモルフ)と比較することで,シスト壁の高分子構造の推定とその保存性の評価を行なった。分析の結果, A. catenella /pacificumシストは,無色シストのなかでもLingulodinium polyedrumに最も類似したスペクトルであるが,1000~1250cm-1のピーク形状が異なることがわかった。L. polyedrumは後期暁新世から現世堆積物に産することから,保存性は高いといえる。2種類のシスト壁の保存性の違いは,高分子構造のわずかな違いにも由来してるかもしれない。