ホソカワ粉体工学振興財団年報
Online ISSN : 2189-4663
ISSN-L : 2189-4663
令和元年度 研究助成成果報告
粉体バルク挙動に着目したDEM手法の開発
鷲野 公彰
著者情報
研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

2021 年 29 巻 p. 73-77

詳細
抄録

離散要素法(DEM)では,オリジナル粒子より剛性を低減させたモデル粒子を使用することで時間刻みを大きくとり,シミュレーションにかかる計算コストを下げることが一般的である.また,付着性粒子のシミュレーションにおいては,接触時間の増加に伴う過剰なエネルギー消散を防ぐため,粒子剛性の低減に合わせて付着力をスケーリングする手法が近年提案されている.この手法は粉体がバルク体として流動化している動的な系に対しては非常に有効であるが,接触中における瞬時の力の釣り合いが崩れることから,凝集や付着といった相対的静止状態を模擬することが難しい.本研究では,剛性を低減したモデル粒子に対して,付着力の代わりに粘性減衰係数をスケーリングする手法を提案した.また,提案手法を回転ドラムのシミュレーションへと適用し,壁面への粒子の付着といった静的な状態と動的安息角といった粉体バルク挙動を同時に模擬可能であることを確認した.

Graphical Abstract Fullsize Image
Snapshots of cohesive particles in rotary drum.
著者関連情報

This article is licensed under a Creative Commons [Attribution 2.1 Japan] license.
https://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/
前の記事 次の記事
feedback
Top