2025 年 33 巻 p. 75-80
本研究では,環境調和型溶媒である深共晶溶媒(DES)を反応場として,亜鉛-遷移金属系複合酸化物ZnM2O4(M = Co, Mn, Fe)の合成を行った.塩化コリン-尿素系DESと塩化コリン-シュウ酸系DESを組み合わせた完全DES環境下で共沈反応を実施し,金属シュウ酸塩前駆体を経由して目的のスピネル酸化物を得た.XRD解析およびSEM観察から,前駆体は遷移金属種に依存した特異な針状・柱状形態を示し,400°Cでの熱処理により10~40 nmのナノ粒子が集合したトウモロコシ状の多孔質二次構造へと転換することが明らかとなった.得られた酸化物粉体はエタノール,アセトン等の各種ガスに対して温度依存的な応答を示し,材料によって異なる半導体特性(p型/n型)を反映したセンサ挙動が観測された.本手法は従来の水溶液法では困難な粒子形態制御を可能にし,機能性酸化物材料の新規合成指針を提供するものである.