2025 年 33 巻 p. 81-85
本研究は,溶媒中で分散可能であり,乾燥・粉末化過程で自己組織化による集積構造を形成する多孔質有機ナノシートの合成を目的とした.ナノシート層間のπ–π相互作用を抑制するため,分散性を付与する側鎖とナノシート部位とを直交的に配置したトリプチセン誘導体を設計・合成した.さらに,動的共有結合および芳香族求核置換反応を利用することで,数マイクロメートルサイズのナノシートの液中合成に成功した.得られたナノシートは有機溶媒中に良好に分散し,溶媒極性に応じた発光特性を示した.さらに,粉末化と再分散を繰り返すことが可能であり,薄膜の光学特性も溶媒蒸気により可逆的に変調されることを見出した.以上のように溶媒分散性を有するナノシートの合成を実現した本成果は,新たな膜材料や分離膜への応用展開が期待される.