日本食品保蔵科学会誌
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エチレン生成速度はトマトの物理ストレス応答の敏感な指標である
タンマウォン マナスィカン臼田 浩幸根井 大介梅原 仁美佐竹 隆顕中村 宣貴ロイ ポリトシュ椎名 武夫
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2012 年 38 巻 3 号 p. 159-167

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抄録

 衝撃を含む物理的ストレスは,園芸農産物の生理・生物的特性,食味,外観品質などに大きな影響を及ぼす。本研究においては,小さな落下衝撃が緑熟トマトの呼吸速度,エチレン生成送度に及ぼす影響について検討した。初めに,実験途中でのクライマクテリックによる呼吸速度,エチレン生成速度の変化の影響を排除するため,収穫直後のエチレン生成速度から,熟度を詳細・正確に評価することを試みた。その結果,収穫直後のエチレン生成速度が8.2 nmol/kg/h以下であれば,48時間の実験中にクライマクテリックライズに至らず,緑熟状態が維持されることが明らかになった。このスクリーニング手法により,実験期間中に緑熟状態であることを確認したトマトを,5cmの高さからコンクリート床へ1,3,10回落下処理した。このごく小さな落下処理にもかかわらず,トマトの呼吸速度,エチレン生成速度は顕著に上昇した。興味深いことに,エチレン生成速度は1回のみの落下によっても上昇し,その程度は,呼吸速度のそれと比べて大きかった。さらに,落下処理前にエチレン作用阻害剤である1-MCPを処理した場合であっても,10回落下処理では,呼吸速度とエチレン生成速度の上昇は抑えられなかった。これらの結果と,落下処理した果実において目視による損傷が確認されなかったことから,エチレン生成は落下処理によるトマトの生理的変化を最も顕著に示す指標であると考えられた。したがって,エチレン生成速度は,トマト果実における物理的ストレスの発生を敏感に検出する重要な指標として位置づけられる。加えて,エチレン生成速度は,トマトに関して化学的,物理的な処理が代謝や品質に及ぼす影響を解明する研究において,正確で均一な熟度の果実を選択するための有効な指標であると考えられた。

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© 2012 一般社団法人日本食品保蔵科学会
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