2009 年 12 巻 4 号 p. 313-319
ナノ秒パルスYAGレーザによるSnO2系薄膜の高速ドライエッチングの検討を行った。実際に加工を行い,加工端部精度2 μm,表面粗さ10 nmを達成可能であることを確認した。さらに加工性は膜厚やパルス幅依存性があり,200~300 nm膜厚,数十nsパルスが適当であることを明らかにした。また加工が自由電子濃度に依存し,その加工可否を分ける閾値が4.0×1025 m−3程度であることを明らかにした。しかし低自由電子濃度にもかかわらず加工が行えた結果も得られ,これに対しYAG光子(1.16 eV)による中間準位からの電子励起メカニズムを推察した。こうした推定加工メカニズムをもとに適正材料を作成することで20 mJ/mm2の低エネルギ加工を達成し,高速加工が達成可能であることを示すことができた。