抄録
銅張り誘電体積層基板AR-1000に関して,基板の垂直・平面方向の複素比誘電率および,導体の表面・界面導電率の周波数依存性を測定した。これらの値を用いて50 Wマイクロストリップ線路に関する減衰定数αおよび実効比誘電率εeffを電磁界シミュレータHFSSにより計算した。この評価方法の高精度性は,1–20 GHzにわたる測定結果により実証された。さらに,誘電体損,導体損,放射損の分離評価方法を提案し,実際にこの線路についてαを損失ごとに定量的に評価した。これより誘電正接の異方性および周波数依存性,銅箔の表面粗化加工の影響が評価可能になった。最後に,金めっき層がαに及ぼす影響を定量的に評価した。