2002 年 5 巻 2 号 p. 152-158
本研究では, 電子部品への熱的損傷が低減できる低温系Sn-Bi-Cu系合金に着目し, 機械的特性および接合信頼性に及ぼす合金組成の影響について検討した。Bi含有量が40mass%付近のSn-BiおよびSn-Bi-Cu系合金は超塑性的な挙動を示し, 最適組成であるSn-40Bi-0.1Cuの伸びは25℃で171%, 80℃で516%に達し, 従来のSn-37Pbの2.5倍以上の延性を有することがわかった。この超塑性的な挙動は合金組織と密接に関係しており, 初晶Snとそれを網目状に取り囲むSn-Bi共晶あるいはSn-Bi-Cu共晶領域ですべりが生じることにより発現したと考えられる。Sn-40Bi-0.1Cuによるはんだ接合部の接合強度, 耐熱疲労特性および耐Cu食われ性は現行のSn-37Pbはんだよりも優れており, 信頼性の高い接合部が得られることを実証した。