2元系, 3元系の溶融鉛フリ一はんだ材料に対しQCM法を用いて, イオンマイグレーション成長過程を解析した。さらに, 実験後の電極表面の溶解・析出形態, 断面観察, およびアノード溶解特性を調査することで, マイグレーション発生に及ぼす要因を検討した。その結果, Sn-3.5Ag, Sn-0.8Cu, Sn-58Biはんだの添加元素であるAg, CuおよびBiは, Snと化合物形成, または単金属で安定化するため, マイグレーション発生には, Snの選択的溶解特性によって支配されていることが確認できた。また, Sn-9Znにおいては, Snに対して卑なZnが優先的に溶解するが, Znの過剰な溶解反応をSnが防止する役目も果たすことを確認した。溶融鉛フリーはんだのイオンマイグレーション発生は, アノード電極における各種合金成分の合金組成とその溶解特性, カソード電極における析出物の発生形態に関係することを明らかにした。
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