2020 年 43 巻 4 号 p. 433-445
本研究では,教科担任制と学級担任制を採用する初等中等教育の異なる学校種において,筆答テストの採点業務を支援するシステムを開発,評価した.本システムは,先行研究を踏まえて画像串刺し方式を採用し,また新たに,学級担任の教員が使用する市販のテストを扱える領域設定パッケージ機能と教科担任の教員が担当する複数クラス分の採点を行う複数クラス選択機能を実装した.さらに,正誤判定において操作数が少なくなるよう不正解箇所にのみ操作する機能を新たに実装した.本システムの評価では,実際に行われたテストを用いて,手作業での採点と本システムでの採点にかかる時間を比較した.手作業での採点に対する本システムでの採点の時間短縮率は,教科担任の教員で44.0%,学級担任の教員で42.9%であった.この結果から,本システムは,初等中等教育における教員による採点業務において,時間的負担を軽減する採点支援システムとして機能することが示された.