日本教育工学会論文誌
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43 巻, 4 号
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論文
  • 山本 朋弘, 堀田 龍也
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 4 号 p. 275-284
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,小学校でプログラミング教育を推進する具体的な方策を明らかにすることを目的とし,教員向け意識調査を実施し,探索的因子分析を用いて阻害要因や促進要因を抽出した.434人の回答結果から,阻害要因として,「教材等の不足」「格差の認識」「ICT 活用の抵抗感」の3因子が抽出された.促進要因として,「推進体制」「情報提供」「人的支援」の3因子を抽出した.抽出した6因子の関係を明らかにするために,共分散構造分析を用いて,促進要因から阻害要因を解決するための因子間の関係を分析した.その結果,「推進体制」と「情報提供」と「人的支援」の3つの連携が「教材等の不足」と「ICT 活用の抵抗感」の改善につながり,さらに教員や児童のスキルや知識の格差の解消につながる関係にあることを示した.

  • 平野 智紀, 安斎 勇樹, 山内 祐平
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 4 号 p. 285-298
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/30
    [早期公開] 公開日: 2019/10/16
    ジャーナル フリー

    本研究では,美術教育において広がりを持っている対話型鑑賞ワークショップについて,これを鑑賞者の知識構築の過程として捉え,ナビゲイター(ファシリテーター)による情報提供がどのように知識構築に寄与するのかについて検討した.鑑賞会への参与観察およびファシリテーションを担当した14名の学生ナビゲイターへのインタビューから,鑑賞における情報提供は「考えるための情報」と「確認のための情報」に分類された.プロトコル分析から,「考えるための情報」は,作品の表現内容と組み合わせて知識構築を促すために提供され,「確認のための情報」は議論の押さえとして,それぞれ提供タイミングが図られていることが明らかになった.

  • 鈴木 智之
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 4 号 p. 299-311
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,大学生が就職活動で企業に提出するエントリーシートに焦点を当て,エントリーシートに記載した就業希望文の基準関連妥当性を研究することにある.それによって,大学生の特性が企業に十分に理解され,適職に就けるようなエントリーシート選考法とはどうあるべきかを実証的に論じた.国内企業から実際の新卒採用選考試験で用いられたエントリーシートと採用面接データを取得し,予測的妥当性を分析した結果,エントリーシートに記載された19個の語について,採用面接成績別の語頻度平均値に有意差が見られた.パーソナリティ尺度との併存的妥当性を分析した結果,エントリーシートに含まれる一部の語の頻度とBig Five の各因子に有意な相関係数が見られた.さらに,有効性の評価を行った上でES の分析法を示した.

  • 風間 眞理, 加藤 浩治, 板山 稔, 川内 健三, 藤谷 哲
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 4 号 p. 313-323
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/30
    [早期公開] 公開日: 2020/01/16
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,スマートフォンの使い方を大学生が自ら評価できるスマートフォン行動嗜癖自己評価尺度を開発することである.首都圏の大学に在籍し,スマートフォンを使用している大学生を対象に,研究者で作成したスマートフォン行動嗜癖自己評価尺度の調査を実施した.探索的因子分析と共分散構造分析,使用時間等との相関を求めた.その結果,有効回答数は587.男子学生243名,女子学生344名であった.探索的因子分析後,5因子20項目となり,各因子名を「自己支配性」,「生活への侵食性」,「離脱症状」,「再燃性」,「非制御な通話」とした.共分散構造分析では,GFI=0.931,AGFI=0.909,CFI=0.932,RMSEA=0.052であった.また,スマートフォン行 動嗜癖自己評価尺度総得点と利用時間で有意な相関がみられた.以上より,信頼性と妥当性が示された.

  • 大津 嘉代子, 植木 祐介, 田中 将紹, 阪脇 孝子
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 4 号 p. 325-338
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究の最終目標は,情報検索に未習熟な大学生を対象とした,効果的な教育方法と学習用アプリケーション開発である.学習プロセスとしては,サイトの種類や掲載情報に関する一般的知識に注目し,検索経験を通じて検索者が持つそれらの知識を蓄積させることに重点を置いている.本稿では,最終目標へ向けた第一歩として,検索結果読解,閲覧サイト選択及びページ閲覧過程を対象に,サイト属性(サイトの種類と掲載情報の質)を読み取る能力の育成が,適切な検索行動を促す可能性を調べた.模擬閲覧実験では,ページ開閉時に質問形式でサイト属性と掲載情報を逐次的に予測・検証させる教示の効果を検証した.実験に際しては,逐次的な教示を行う学習用アプリケーションのプロトタイプを開発した.実験の結果,逐次的な教示によりサイト属性に注目した閲覧行動・態度が定着すると確認できた.また,プロトタイプの有用性も確かめられた.

  • 雨越 康子, 森下 正修
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 4 号 p. 339-350
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,集団での絵本の読み聞かせ方法を工夫し長期間(約100日)実施することで,幼児の語彙力やワーキングメモリ(WM)等の認知能力に向上が見られるか否かを検討した.実験群では,保育園で子どもたちに同一絵本を3,4日反復して読み聞かせし(文中の言葉の記銘,想起を求める群と求めない群があった),統制群では保育園で通常通り毎日異なる絵本を読み聞かせした.読み聞かせの前後で言語性・視空間性WM,短期記憶,語彙力を測定し2群の変化を比較した結果,同一絵本を反復読み聞かせした2つの実験群は統制群よりも語彙力が有意に上昇していた.また,家庭での読み聞かせ頻度は,読み聞かせによる言語性WM や語彙力の伸びやす さに関連する可能性が示唆された.

  • 清水 優菜
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 4 号 p. 351-362
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,ベクトルの知識の構造を検討した上で,ベクトルの知識に対して達成目標とエンゲージメントが与える影響を定量的に明らかにすることであった.高校生172名を対象に,質問紙調査を行なった.その結果,ベクトルにおける定義や公式の再生する問題と,教科書の例題レベルの定型的な手続き的知識を問う問題は1因子にまとまることが明らかとなった.さらに,行動的および感情的エンゲージメントは直接的に,熟達目標と遂行接近目標はエンゲージメントを媒介して間接的に本研究におけるベクトルの知識を規定することが示された.とくに,本研究のベクトルの知識に対して,感情的エンゲージメントが大きな影響を与えることが示唆された.

  • 廣松 ちあき, 尾澤 重知
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 4 号 p. 363-380
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル フリー

    内省支援が必要な中堅社員を対象に,仕事観や信念を形成した経験を半構造化インタビューで調査し,TEA によって分析した.その結果,中堅社員は<仕事の大変さ,難しさに直面する>,<異動・配置換えにより新しい仕事に就く>,<一人で完結させる責任の重い仕事を任されるが,予想外のトラブル対処に追われる>という経験を通じて,上司や同僚,顧客などの【周囲の期待・要望】と,【業績達成を求める組織風土】の対立の中で葛藤し,成功経験のみならず失敗経験からも「自分の仕事への取組み方」の理解を深め,仕事観や信念を自覚することが分かった.それらの仕事観・信念は,企業人の仕事観・信念として提唱されていた<社会人としての役割規範>,<自律的に仕事をする>,<他者への貢献>に加えて,<公私ともに充実させる>が新たに示された.最後に,中堅社員の仕事観・信念の確立と熟達者への成長に向けた上司からの内省支援を検討した.

  • 杉山 昂平, 森 玲奈, 山内 祐平
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 4 号 p. 381-396
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/30
    [早期公開] 公開日: 2019/12/16
    ジャーナル フリー

    人々が興味を深めるとき,ゆるやかな社会関係はいかに関与するのだろうか.本研究の目的は,興味追求としての趣味に着目し,強固な実践共同体に対比されるゆるやかな実践ネットワークが,趣味人の興味の深まりにいかに関与するのかを明らかにすることである.事例としてデジタル時代のアマチュア写真を取り上げ,アマチュア写真家14名に対してインタビュー調査を行った.その結果,興味の深まりに関与する実践ネットワークとして「刺激的な隣人」と「不特定の観衆」の存在が明らかになった.「刺激的な隣人」は自立的に興味を追求する多様な趣味人の姿を可視化し,「不特定の観衆」は作品に対してフィードバックを与え,それ自体が深い興味の対象になったり,興味を深めるさらなる行動を促したりする.こうした実践ネットワークはSNS によって形成されることもある一方,展覧会や撮り歩き会のような,趣味の世界における対面的な活動によっても形成されていた.

  • 青年期から老年期の世代間比較
    桂 瑠以, 杉山 明子
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 4 号 p. 397-408
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,10代から70代までを対象に2時点のパネル調査を行い,インターネット(以下,ネット)の利用がオフラインの対人関係及び心理的引きこもりに及ぼす影響関係を,青年期,成人期,老年期の世代間で比較することを目的とした.その結果,世代により,ネットの利用,オフラインの対人関係,心理的引きこもりの各変数に差異が認められた.また,ネットの利用がオフラインの対人関係及び心理的引きこもりに及ぼす影響として,青年期で,一部のネットの利用がオフラインの対人関係を低下させ,心理的引きこもりにつながる可能性が示唆された.その他では,おおむね,ネットの利用が多いほどオフラインの対人関係が増加し,心理的引きこもりが低下することが認められ,ネットの利用が心理的引きこもりを低減する可能性が示唆された.

  • 石山 裕菜, 及川 昌典, 及川 晴, 鈴木 直人
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 4 号 p. 409-420
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,表現筆記はクラスメイトとの葛藤の解決を促すことで,人間関係やストレスを改善させ,学力の向上を導くこと,また,文章がそれぞれの項目(他者視点,因果,内省,感情,まとまり)において構造化している場合,効果が促進される可能性があることを検討した.79名の小学生にクラスメイトとの葛藤体験について1日おきに15分間,合計3回書き綴らせた.ストレス反応が減少し,一部のテストパフォーマンスが向上した.また,感情を多く筆記した児童はそうではない児童と比較して算数の知識理解の項目の得点が高かった.よって,クラスメイトとの葛藤表現筆記は,小学生のストレス反応の減少だけでなく,テストパフォーマンスの向上を促す可能性が示唆されたが,より効果的な筆記に関してさらなる詳細な検討が必要である.

教育実践研究論文
  • 京都大学文学研究科プレFD プロジェクトを事例に
    香西 佳美, 田口 真奈
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 4 号 p. 421-432
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル フリー

    近年,大学教育において教員の授業力量形成を支援するための取り組みとして授業検討会が定着しつつある.本研究では,特に授業検討会での学びを授業実践に活かすことが課題となる大学初任教員に焦点をあて,授業検討会における談話の特徴とその後の授業実践への影響を明らかにすることを目的とした.具体的には,長期にわたり実施されている「京都大学文学研究科プレFDプロジェクト」を事例として,当該プロジェクトに継続参加している初任教員を対象に授業検討会の談話分析および授業VTR の分析をおこなった.その結果,授業検討会における談話は,授業内容や説明に焦点化しやすく,授業目標や評価に関するものは出現しにくいことが明らかになった.授業検討会での談話が授業実践に与える影響では,学生からの談話や代案まで提示された談話が反映されやすい可能性が示唆された.一方で,授業実践への反映には,談話にもとづき取り組みを変化させたものや新たな試みを導入したものだけでなく,実施そのものを取りやめてしまう反映も確認された.

教育システム開発論文
  • 中川 哲, 佐藤 和紀, 齋藤 玲, 堀田 龍也
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 4 号 p. 433-445
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,教科担任制と学級担任制を採用する初等中等教育の異なる学校種において,筆答テストの採点業務を支援するシステムを開発,評価した.本システムは,先行研究を踏まえて画像串刺し方式を採用し,また新たに,学級担任の教員が使用する市販のテストを扱える領域設定パッケージ機能と教科担任の教員が担当する複数クラス分の採点を行う複数クラス選択機能を実装した.さらに,正誤判定において操作数が少なくなるよう不正解箇所にのみ操作する機能を新たに実装した.本システムの評価では,実際に行われたテストを用いて,手作業での採点と本システムでの採点にかかる時間を比較した.手作業での採点に対する本システムでの採点の時間短縮率は,教科担任の教員で44.0%,学級担任の教員で42.9%であった.この結果から,本システムは,初等中等教育における教員による採点業務において,時間的負担を軽減する採点支援システムとして機能することが示された.

資料
  • 尺度項目ならびに比喩生成課題の回答から
    前田 菜摘, 浅田 匡
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 4 号 p. 447-456
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル フリー

    校内研修は,学校の課題を解決する実践研究の場であり,個々の教師の力量形成だけでなく,組織体としての学校を構築し,研究としての成果を活かし,蓄積する役割も担ってきた.しかしながら,こうした複雑な取り組みに対し,個々の教師たちがどのように認識しているかという点については十分に明らかにされてこなかった.そこで現職教師の校内研修に対する認識を探るため,小中学校の教師120名を対象に尺度項目と比喩生成課題による調査を実施した.結果,個人が学ぶ場や同僚との交流の場としての意味が支持される一方,研究としての意味や日々の実践に対する意味については認識に差があることが示された.また,比喩生成課題によって得られた回答からは,校内研修に対するネガティブなイメージとして,授業の公開や準備の非日常性に対する否定的な認識や,自由な探究が制限されている実態や成果の不明確さに対する不満があることが示唆された.

  • The Inhibition Effect of Information Ethics Educations on the Conformity to Negative Context on SNS
    石井 僚, 原田 雅也, 松木 莉奈, 川島 実紗, 北村 紫織, 高橋 麻緒, 豊田 昂
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 4 号 p. 457-466
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,情報モラルの教示に合わせて集団もしくは個人アイデンティティを強化することが,SNS 上の否定的文脈への同調を抑制するか,パーソナリティ要因としての同調的対人態度を統制した上で検討することであった.実験協力者である大学生114名を情報モラルの教示と集団アイデンティティの強化を行う集団アイデンティティ強化群,情報モラルの教示と個人アイデンティティの強化を行う個人アイデンティティ強化群,教示や強化を行わない統制群に分け,場面想定法を用いた質問紙実験を行った.その結果,情報モラルの教示を行っても集団アイデンティティを強化された場合にはSNS における否定的文脈への同調は抑制されないこと,個人アイデンティティを強化された場合には場面によって同調が抑制されることが明らかとなった.情報モラル教育は,SNS の持つ状況的特徴が同調を抑制しづらくすることに配慮して行う必要があることが示唆された.

  • 登本 洋子, 高橋 純
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 4 号 p. 467-478
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/30
    [早期公開] 公開日: 2019/12/23
    ジャーナル フリー

    本研究は教員養成系大学に属する学生の表計算スキルの習得状況を明らかにすることを目的とした.表計算スキルは社会で幅広く使われている基礎的なICT スキルであり,仕事の効率化にも影響を及ぼすと考えられる.調査の結果,他のアプリケーションにおいても共通して求められる表計算スキルにおいては習得がみられるものの,表計算ソフトウェアに特化したスキルは十分に習得されていないことが示唆された.タイピングに関しては,多くの学生はタイピングに自信がないと回答しており,パソコンよりもスマートフォンにおける文字入力のほうが速いと感じていることが明らかになった.さらに,パソコンが「嫌い」よりも「好き」,或いはパソコンが「苦手」よりも「得意」,或いはパソコンが「役に立たない」よりも「役に立つ」と回答した群のほうが,表計算スキルも高いと感じていることが明らかになった.児童生徒のICT 活用スキルの向 上を高めるためには,教員養成系大学に属する学生の基礎的なICT スキルをさらに向上させる必要があると考えられる.

  • 岡田 涼
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 4 号 p. 479-487
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/30
    ジャーナル フリー

    本研究では,仲間との協同的な学習活動とメタ認知的方略との関連を明らかにすることを目的とした.小学4~6年生を対象に,1年間における3回の短期縦断調査を行った.パス解析の結果,年度はじめの相互学習が年度途中のメタ認知的方略と関連し,年度途中のメタ認知的方略が年度終わりの相互学習およびピアモデリングと関連することが示された.また,年度はじめのメタ認知的方略が年度途中のピアモデリングと関連していた.仲間との協同的な学習によってメタ認知的方略の獲得を促す実践について論じた.

寄書
  • 今井 智貴, 佐久間 大, 長谷川 勝久
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 43 巻 4 号 p. 484-494
    発行日: 2020/03/20
    公開日: 2020/03/30
    [早期公開] 公開日: 2020/01/23
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,模擬授業中に児童役の学生が,学校現場の児童の役割演技をすることで,どのような学びが得られるのかについて明らかにすることである.上記の目的を達成するために,役割演技を指示していない群と役割演技を指示した群の児童役の学生に,模擬授業中に学んだことに関する半構造化インタビューを行った.そこから得られた語りを,オープン・コード化を用いて分析した結果,模擬授業中に児童役の学生は,6つの学びをしていることが明らかになった.また,役割演技を指示することで,教師の生徒指導の仕方に関する学びと褒められてうれしい気持ちになるといった授業場面の児童のプラスの心理の理解,授業がつまらなくて飽きるといった授業場面の児童のマイナスの心理の理解が得られることが明らかになった.

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