本研究の目的は,中学校数学の図形領域における証明の問題解決に対して,エンゲージメントと図形の困難さが及ぼす影響を定量的に明らかにすることであった.中学2年生162名を対象に,質問紙調査を行った.その結果,次の4点が明らかとなった.(1)図形の困難さは,「平行線と角の性質」,「平面図形の計量」,「証明の方法」,「作図と図形の移動」の4因子から構成される.(2)証明の方法に関する困難さが低いほど,および認知的エンゲージメントが高いほど証明の問題を解決できる.(3)作図と図形の移動に関する困難さが低いほど証明の問題を解決できない.(4)図形の困難さの中でも,証明の方法に関する困難さが低いほど,エンゲージメントが高かった.以上の結果から,証明の問題解決とエンゲージメントを促進する上で,証明の方法に関する困難さを低下させることの重要性が示唆された.