再帰性等の教職の特性から,教員養成の高度化を図るためには,教職大学院の「実務家教員」が「教師教育者」として教育実践研究を企画・運営する能力を高めることが望まれる.そこで,本研究では,実務家教員がそうした能力を高めるためのプログラムの開発を最終ゴールに据え,そのための基礎研究として,質問紙調査を実施した.具体的には,実務家教員を対象にして,その授業改善や大学院生の指導等に関する質問項目を構成し実施した.それは,「問題の同定」「解決のためのプランの策定」「解決のためのアクションの遂行」「アクションの評価と研究的展開」の状況等を調査内容とするものである.それらに属する活動を自身が行っているか,それを大学院生に指導しているかの両面を実務家教員たちにたずねた.162名からの回答を分析した結果,「アクションの評価と研究的展開」といった場面に,あるいは「協働性」といった要件を満たすことに,実務家教員の教育実践研究の困難点がある等の知見が得られた.