2022 年 46 巻 2 号 p. 351-362
本研究では,1人1台端末の活用による学習記録の可視化・俯瞰化を通した理科の学習におけるリフレクションが,生徒の理科の学習意欲に及ぼす影響を明らかにするために,エンゲージメントと学習方略の使用の変容に着目し,中学生を実験群と統制群に分け,2群比較を通してその効果を検討した.中学校理科第一学年物理分野の「光・音・力」の単元において,タブレット型情報端末を活用したリフレクションを実践し,その前後における生徒のエンゲージメントと学習方略の変容を分析した.分析の結果,リフレクションを行った群において行動的エンゲージメント及びメタ認知的方略,認知的方略,協同方略の使用の増加が確認された.研究を通して,1人1台端末の活用によって学習記録を可視化・俯瞰化すること,また,それらを用いたリフレクションに取り組むことで,「光・音・力」の単元における,学習意欲の改善につながる学習方略の使用を促すことができる可能性が示唆された.