日本教育工学会論文誌
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教育実践研究論文
総合的な探究の時間における高大連携の効果の検討
清水 優菜荒井 英治郎
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2023 年 47 巻 1 号 p. 47-61

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抄録

本研究は,総合的な探究の時間における高大連携として,学問的真理の追究や方法論的専門性の理解の機会を5回にわたる大学の研究者のゼミにより提供することが生徒の資質・能力に与える効果を検討した.探究の時間に高大連携による「大学連携ゼミ」を取り入れている高等学校A校の1,2年生を対象としたWeb 調査の結果,①どのようなゼミのテーマ,運営方法,学問領域や方法論であっても,論理的思考への自覚と客観性,制度的利用価値が同程度に向上する,②ゼミを重ねるごとに積極的に関与するようになった生徒ほど論理的思考力への自覚が高まる,③探究の時間の目標では,特に「思考力,判断力,表現力等」と「学びに向かう力,人間性等」が高まることが示された.よって,探究の時間における高大連携として,大学の研究者により学問的真理の追究や方法論的専門性の理解の機会を提供することは生徒の資質・能力の向上に一定の効果を有する可能性が示唆された.

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© 2023 一般社団法人日本教育工学会
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