本論文の目的は,大学の数学科目における板書講義とスライド講義に着目し,講義者の発話と板書/スライド提示,学習者のノートテイキング行動の関係を時系列的に分析し比較することであった.リアルタイムに測定された講義者の発話,板書,スライド提示,学習者のノートテイキングの移動ラグ相互相関から,板書講義では講義者の発話と板書が交互に行われるパターンが観察され,学習者のノートテイキングは板書行動に同調していた.一方で,スライド講義では,講義者は発話しながらスライドの切り替えによって情報を提示していること,学習者の筆記タイミングに個人差が生じることを示唆した.本アプローチは,現実の講義場面における2者の行動のダイナミクスを定量的に示す有用な手法となりうる.