2025 年 49 巻 2 号 p. 223-233
高等学校と大学における教育は質的に大きく異なる.いかに両教育段階を接続するかという問題は「高大接続問題」として知られており,高大接続を達成するためのアプローチの一つに入学前教育がある.本研究では全国の国公私立大学を対象とした調査の分析により,各大学が入学前教育に掲げる目的と,そのための教育提供者,教材および成果の関係性について,偏差値にみる大学の選抜性を踏まえて俯瞰的に検討した.アソシエーション分析の結果,高校卒業水準の学力維持が全大学の入学前教育の基盤にあり,さらに相対的に選抜性の高い大学ほど目的や教育提供者,教材面において大学入学後の要素を取り入れ,成果につなげていることが示唆された.このような大学の選抜性による入学前教育の段階性を描けた点に,本研究の意義がある.今後の課題として,各大学は選抜性を踏まえつつ,入学後の要素を取り入れた教育提供者の配置や教材を考えていくことが急務であろう.