論文ID: 49072
本研究は,初等中等教育の学校教師への質問紙調査を通じて,教師の自律性支援および行動制御に関する心的過程を検討した.その結果,教師の自律性支援志向性はいずれの変数とも関連を示さなかった.一方,行動制御志向性は,教師の児童・生徒の動機づけ認知,仕事に対する内発的動機づけとそれぞれ負に関連を示した.さらに,行動制御志向性を従属変数,児童・生徒の動機づけ認知を独立変数,仕事に対する内発的動機づけを媒介変数,知能観を調整変数とする調整媒介モデルにおいて,仕事に対する内発的動機づけと行動制御志向性の関連に対する知能観の調整効果が確認された.具体的には,知能は可変であるという増大的知能観をもつほど,仕事に対する内発的動機づけと行動制御志向性の負の関連が強くなることが示された.これらの結果から,教師の行動制御の低減には,児童・生徒の自律的動機づけの認知や,知能観に対する介入が重要である可能性が示唆された.