油化学
Online ISSN : 1884-2003
ISSN-L : 0513-398X
Penicillium herqueiの生産する抗酸化性代謝物とそのトコフェロールとの相乗効果
守本 京三吉和 哲朗石川 行弘浜崎 敞
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1987 年 36 巻 1 号 p. 10-15

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抄録
Penicillium herquei IFO 7904菌株を, 麦芽培地で液体培養して, 菌体及び培養濾液から抗酸化活性及びトコフェロール (Toc) と顕著な相乗効果を示す赤色物質 (PHR) を得た。元素分析及びスペクトルデータによって, PHRの分子式はC20H20O8 (MW=388.38) と決定されたが, 正確な構造を決定するには至らなかった。ラード及びリノール酸メチルを基質とした自動酸化条件において, PHRの抗酸化活性は天然d-Tocの抗酸化活性の半分であったが, PHRはTocと顕著な相乗効果を示した。また, PHRは市販植物油を安定化させた, 特に0.05%PHR添加パーム油のAOM値は440hに達した。また, PHRはラード中で比較的熱安定性があり, さらに, 熱酸化条件及び類似のフライ条件処理下で, ラード中のTocの熱酸化を効果的に防止した。このため, TocとPHRを添加したラードのAoM値は, Tocだけを添加したラードのAOM値より常に大きかった。
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