抄録
高等動物には普遍的に存在しているスフィンゴミエリン (セラミドホスホコリン) も, 下等動物においては, 極めてその分布が限られており, 今までに, はっきりと単離及び同定について報告されているのは, 軟体動物の一部 (貝類) からにすぎない。こうした中で, 動物寄生性線虫のブタカイチュウ, Ascaris suum (袋形動物, 線虫網) を用いてスフィンゴミエリンの存否を精査し, セラミド成分の異なる2種類のスフィンゴミエリン (24 : 0脂肪酸-d, br 17 : 0長鎖塩基を成分とするもの及び24 : 0ヒドロキシ脂肪酸-d, br 17 : 1長鎖塩基を成分とするもの) の単離に成功した。