日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
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45 巻, 2 号
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  • 榊原 敏之, 難波 幸弘
    1996 年45 巻2 号 p. 127-135
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    リン脂質を素材という見方で見たときの現状をまとめた。レシチンと称されるリン脂質を除くと, 工業化されているリン脂質はグリセロリン脂質の一種のホスファチジルコリンのみで, その価格は数十万円/kgと宝石並の高価品である。しかし, この10年間でリン脂質の研究が進み, (1) リン脂質そのものの生理活性 (2) リボソーム素材 (3) リン脂質複合体 (4) リン脂質による化学修飾の各分野で新製品が開発されてきた。それらを概説した。
    リン脂質を単なる化合物と捉えず, 膜構成, 複合体化, 化学修飾の成分と捉えると, リン脂質は明らかに新素材と言える。今後も注目され続けるだろう。
  • 糖脂質酵素モデル (第7報)
    大勝 靖一, 末吉 孝
    1996 年45 巻2 号 p. 137-145
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    親水性ないし疎水性を有する各種アミノ酸の加水分解に及ぼす糖脂質触媒の炭化水素鎖長の影響を検討した。糖脂質は反応場として添加したボスファチジルコリンと相互作用し, 糖脂質の鎖長に依存して向上した, または低下した加水分解活性を示した。また糖脂質は鎖長に従って基質を識別する能力の異なることも判った。反応場である脂質の糖脂質酵素モデル触媒に及ぼす影響についても議論する。
  • 松原 義治, 藤本 和男, 前川 博史, 西口 郁三
    1996 年45 巻2 号 p. 147-153
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    脂肪族, 芳香族およびα, β-不飽和系など種々のメチルケトン類を臭化ナトリウム (または臭化リチウム) を含む無水メタノール (またはエタノール) 中にて, 陽陰極として炭素棒を備えた無隔膜セルを用いて電解すれば, ホロホルム型反応が容易に起こり対応するカルボン酸のメチルエステル (またはエチルエステル) が好収率で得られた。反応では陽極酸化により発生するプロモニウムイオンがメディエーターとして重要な働きを果たしていると思われる。一旦生成するプロモホルムが陰極での容易な還元により揮発性の高い物質に変わり, 反応終了時に混合物中にほとんど存在しないことは, 反応操作上極めて高い簡便性を与える。更に, 芳香環やオレフィン結合への簡便で効率的なカルボアルコキシ基の導入が, 最初のフリーデル・クラフツ反応により, 容易に可能であることを示した。
  • 山本 信也, 吉田 誠一, 高松 翼
    1996 年45 巻2 号 p. 155-160
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    LC-MSによりヒマシ油と硬化ヒマシ油中のリシノール酸と12-ヒドロキシステアリン酸の定量法を開発した。用いたインターフェースは大気圧イオン化 (APCI) 法であり, これは疑分子イオンであるm/z297と299をモニタリングする選択イオンモニタリング (SIM) 法により脂肪酸に対して高感度を示し, 検出限界はS/N2~3で1ngであった。4~100ngの注入範囲において, ピーク面積とおのおののヒドロキシ脂肪酸量の間に直線関係がみられ, 相関係数は0.999 以上であった。本法は変動係数6.6%以下の満足のいく再現性を示し, 標準添加に対して89.7~104.2%の回収率を示した。また, 遊離脂肪酸の定量結果と酸価より計算した遊離脂肪酸量とは良く一致した。その他の微量の遊離脂肪酸として, ヒマシ油中にリノール酸とオレイン酸が検出された。本法は簡便で迅速かつ同じ脂肪酸で構成されるグリセリドの共存下における微量の遊離脂肪酸の定量に非常に適していることがわかった。
  • 沢田 英夫, 片山 慎介, 大植 正敏, 川瀬 徳三, 早川 由夫, 馬場 昌範, 冨田 敏夫, 三谷 元宏
    1996 年45 巻2 号 p. 161-169
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    過酸化フルオロアルカノイルと2-アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドとを反応させることにより, 温和な条件下にてフルオロアルキル基が直接炭素一炭素結合にて導入された新規なトリメチルアンモニウムセグメントを有するオリゴマーが合成された。これらオリゴマーは水, メタノール, エタノール, ジメチルスルポキシドに可溶であることが明らかとなった。またトリメチルビニルシラン, メチルメタクリレート, エチルメタクリレート, ブチルメタクリレート等のコモノマーを用いたコオリゴメル化反応により合成されたトリメチルアンモニウムセグメントを有するフルオロアルキル基含有コオリゴマーは水, あたのーる, エタノール等の極性溶媒以外にベンゼン, トルエン等の芳香族非極性溶媒にも可溶となった。これらフルオロアルキル基含有オリゴマーは, 高分子量のフルオロアルキル可された材料であるにもかかわらず, 通常の低分子量フッ素系界面活性剤と同様, 水の表面張力を 10mN/m付近まで低下させることが明らかとなり, 新規なカチオン系オリゴマー界面活性剤としての応用が可能である。これらフッ素系オリゴマーはMT-4細胞における抗HIV-1活性は発現しなかったが, Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌) に対して抗菌活性を有することが示された。
  • 好野 則夫, 浅野 訓, 近藤 行成, 阿部 正彦
    1996 年45 巻2 号 p. 171-179
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    親油性末端にフッ素鎖を有する新しいアゾベンゼン系アニオン界面活性剤を合成した。鎖長の異なるペルフルオロアルキルヨージドとアニリンとの銅粉反応により4-ペルフルオロアルキルアニリンを合成し, ついで, ペルフルオロアニリンのジアゾ化ならびにフェノールとアゾカップリング反応により, フルオロアルキル鎖を有するヒドロキシアゾベンゼンを合成した。さらに, 安定なスルホン酸塩型アニオン界面活性剤を得るために, 亜硫酸ナトリウムとの反応で目的の両親媒性物質4種類を合成した。これらの生成物は1H-NMR, IR, およびマススペクトルで確認した。
  • 大谷 規隆, 武石 一路, 井上 幸彦, 松上 真也
    1996 年45 巻2 号 p. 181-185
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    オクタン中でエーロゾルOT (AOT) が形成する逆ミセルに水とともに種々の遷移金属塩を可溶化させた。これら金属塩は油溶性のアラニンデシルエステル (AlaODC) の加水分解を促進することがわかった。金属塩として酢酸銅を用いた場合に, 加水分解の初期基質濃度に強く依存した。初期速度は両者の濃度が高いほど大きくなった。しかし, 転化率が金属塩と初期基質量の比の2倍に達すると, 反応は減速した。同様な反応速度挙動が他の金属塩を用いても観察された。多数の金属錯体の存在とそれらの間の平衡安定性からこの反応系のメカニズムを考察した。
  • 西田 勇一, 高橋 俊夫
    1996 年45 巻2 号 p. 187-190
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    脂肪酸のモノグリセリドは, 酸またはアルカリ触媒存在下で異性化を起こすことが知られているが, 育毛剤主成分であるグリセリルモノペンタデカネートはエタノール中, 無触媒で異性化を起こすことが明らかとなった。またこの異性化について半経験的軌道法 (CNDO/2, 0KDO, MINDO/3, MNDO, AM1およびPM3) を用いて平衡異性体比を求めたところPM3法が実験値と一致する平衡値を与えることがわかった。
  • 稲葉 和功, 武隈 秀子, 武隈 真一, 松原 義治, 吉田 善一
    1996 年45 巻2 号 p. 191-193
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    新しい一リン酸エステル, すなわち, 1, 2-エピチオグリセロール-3-リン酸マグネシウムがピンク色の食用キノコのキイロヒラタケ (Pleurotus salmoneostramineus L. Vass.) 中に多量存在していることを見いだした。この特異な構造証明について詳述する。
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