日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
Print ISSN : 1341-8327
ISSN-L : 1341-8327
エーテル脂質生合成の初期段階
西野 徳三
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 46 巻 5 号 p. 507-516

詳細
抄録

古細菌の膜脂質は他の生物の膜脂質がリン脂質のエステル型であるのに対しエーテル型脂質であり, それらの生物が過酷な条件においても生育できることを可能にしている。これらの脂質はグリセロールにC20やC40の飽和イソプレン (フィタニル基やジフィタニル基) が結合している。
それらの脂質は可溶性ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素によって合成されるか, リン酸化酵素によってゲラニルゲラニルリン酸がリン酸化されるかによってまず基質としてのゲラニルゲラニル二リン酸が生じる。これがグリセロールリン酸に結合し, 次いでプレニル基が還元されてフィタニル基になり, head-to-head縮合により二量化してジフィタニルエーテル脂質ができあがる。
Sulfolobus acidocaldariusからゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素の遺伝子を筆者らの考案したred-whiteスクリーニング系を用いてクローニングした。
この遺伝子を用いて種々の組み換え体を作製して性質を調べたり, 他の同族の遺伝子と比較することによって酵素の進化についても議論ができるようになった。

著者関連情報
© 公益社団法人 日本油化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top