最近, いくつもの微生物においてゲノム解析プロジェクトが世界中で, 進められてきている。そして, いくつかの微生物においてはすでに終了し, コンピューターネットワーク上にその結果を見ることができる。こうした結果から, 微生物のゲノムサイズが遺伝子の量, 特に制御にかかわる遺伝子や, 偽遺伝子の量と関連していることがわかり, こうした違いが, その微生物のおかれた環境におけるストレスの量的な違いと相関していることが信じられてきている。これは, 小さいゲノムを持ち独立して生活できる超好熱性古細菌のような微生物を調べることが, 最小ゲノム生物を理解するために非常に重要であることを示唆している。わが国ではそうした研究の一環として, 深海熱水鉱床より単離された新種の超好熱性古細菌, Pyrococcus horikoshii, についてゲノム解析が推進されている。本微生物はその生育上限温度にて絶対好圧性を示す事が明らかとなり, ゲノム解析から得られる結果から, 深海の超好熱性古細菌における好圧性のメカニズム, および, 生命の起源と進化に対する理解を深める等の, 成果が期待されている。