抄録
ポリエチレングリコール誘導脂質を6mol%添加して表面修飾したリポソーム (PEGリポソーム) と水溶性高分子であるコンドロイチン硫酸 (CS) との相互作用を, PEGリポソームの粒子径, ゼータ電位, 微視的粘性, 微視的極性, 膜透過性から検討した。その結果, PEGリポソームの粒子径およびゼータ電位の絶対値はCSを添加することにより増加した。また, PEGリポソームの膜透過性はCSの添加により抑制された。これらの結果は, リポソーム表面でのPEG鎖とCSとの分子間錯体の形成, およびその表面へのCS分子の更なる吸着に起因するものと考えられた。PEGリポソームの微視的粘性に及ぼすCSの影響はCS濃度に依存した。PEGリポソーム二分子膜のパッキングはCS添加量が約4mgmL-1の時に最もリジットになった。