抄録
酸化還元活性なフェロセニル基を修飾した非イオン界面活性剤 (11-ferrocenylundecyl polyoxethylene ether : FPEG) が形成するミセル中へのベンゼンの可溶化に及ぼすフェロセニル基の酸化, 還元の影響を界面化学的に検討した。被可溶化物質のミセル-バルク間の分配を表す可溶化平衡定数は, 被可溶化物質としてベンゼンを用いた場合には, フェロセニル基の酸化によって減少し, フェロセニル基の還元によって再び増加した。このことから, FPEG分子の酸化還元反応を利用した可溶化の能動的かつ可逆な制御が可能であることが分かった。