日本油化学会誌
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p-ヨードフェノールを活性化剤とするペルオキシダーゼ-過酸化水素漂白系によるアゾ色素の退色反応
上舘 民夫柴田 剛典渡辺 寛人森田 みゆき
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1998 年 47 巻 12 号 p. 1345-1350,1362

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抄録
西洋わさび由来のペルオキシダーゼ (HRP) -H2O2漂白系を用いて, オレンジIIおよびオレンジGなどのアゾ色素の退色反応を検討した。オレンジIIの退色反応は2分ほどで終了したが, オレンジGの退色速度は非常に遅かった。アゾ色素間の退色速度の違いはアゾ色素の化学構造の違いから説明した。活性化剤であるp-ヨードフェノール (p-ID) 共存下でアゾ色素の退色速度は著しく増大した。P-ID共存下でオレンジGの移染を十分に防止できる退色速度にまで増大した。P-ID共存下において, HRP-H2O2漂白系のみの場合と比較して, HRPの最適濃度は約10分の1減少した。つぎに, HRP-H2O2-p-ID漂白系を用いて, 溶解したオレンジIIのナイロン布への移染防止反応およびオレンジIIで染色したナイロン布の退色反応を検討した。溶解したオレンジIIは迅速に分解し, その結果, ナイロン布への移染は認められなかった。また, 漂白の間にナイロン布に染色したオレンジIIが退色する現象も認められなかった。
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