抄録
寒天の原料として汎用される紅藻類の海藻オゴノリ(Gracilaria verrucosa)は,海に生息している状態ではプロスタグランジン(PG)を含まない。しかし,物理的刺激を受けると,藻体内に保有する酵素と基質を利用して多量のPGを生成した。
PG生成量は乾重量あたり約2g/kgに達し、組成の90%はPGE2であった。生成されるPG組成は、藻体に含まれる高度不飽和脂肪酸の組成を反映するが,各PGに対応した前駆体の添加により制御可能であった。
オゴノリの単藻培養により,この海藻自身がPGを生成することを確認した。また,数種のオゴノリ近縁種に少量のPG生成が認められた。