2025 年 81 巻 6 号 論文ID: 23-00201
暑中コンクリートの施工性改善のため,流動性の保持成分と凝結の遅延成分から成る混和剤を開発した.そして,この混和剤を後添加したコンクリートの品質や施工性の改善効果を実験により確認した後,実工事に適用した.その結果,暑中期に長時間にわたり流動性を保持し,打重ね可能な時間を確保するには,ポリカルボン酸系化合物,オキシカルボン酸塩および糖から成る混和剤を用いるのが望ましいこと,この混和剤を用いることでコンクリート温度が35℃を超える環境下でも,20℃程度の標準的な時期と同程度の時間にわたり流動性や打重ね可能な時間を確保できること,混和剤の使用は硬化後の品質に影響しないこと等を示した.さらに,暑中期の実工事に適用し,標準的な時期と同様の打込みおよび締固め方法で,コンクリート施工が行えることを示した.