日本栄養・食糧学会誌
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おからパウダーの摂取が日本人成人女性の腸内細菌叢および短鎖脂肪酸産生に及ぼす影響:無作為化プラセボ対照二重盲検試験
岸村 康代青江 誠一郎
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2025 年 78 巻 4 号 p. 237-246

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抄録

本研究では, 食物繊維が豊富なおからパウダーの摂取がヒトの腸内細菌叢および短鎖脂肪酸産生に及ぼす影響を調べることを目的にした。実験1のヒト介入試験では, 無作為化プラセボ対照二重盲検試験によりおからパウダーを健康な日本人女性24名に4週間摂取させ, 腸内細菌叢の変化と短鎖脂肪酸産生に及ぼす影響を調べた。実験2では, 4名のヒト新鮮糞便を用いて48時間の糞便培養試験を行い, 短鎖脂肪酸産生量を調べた。実験1の結果, おからパウダー摂取によりFirmicutes門/Bacteroidetes門比 (F/B比) の低下, およびBacteroides属とBarnesiella属の占有率の有意な増加が見られ, α多様性の指標の有意な増加が見られた。また, 実験2の結果, おからパウダーにより酪酸産生菌の占有率が増加する傾向が見られ, 短鎖脂肪酸の中でもn-酪酸を多く産生する可能性が示された。以上のことから, おからパウダーは日本人女性の腸内細菌叢を変化させ, 多様性を増加させること, および腸内発酵性の食物繊維を含むことが示された。

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