抄録
コレステロール非負荷の条件で, ラットの血漿コレステロール, 糞および消化管内のステロイドと短鎖脂肪酸 (SCFA) に及ぼす食物繊維 (セルロース, パクテリアセルロース, リンゴパルプ, アラビアガム, グアガム, グアガム部分水解物) の影響を検討し, 次の結果を得た。
1) グアガムのみが血漿コレステロール濃度を低下させ, 糞中排泄ステロイド量を増加させた。
2) 全動物の血漿コレステロール濃度は糞中ステロイド量とは相関せず, 小腸上部胆汁酸量との間に負の相関が認められた。
3) グアガム部分水解物群以外の群において, 血漿コレステロール濃度と盲腸内プロピナン酸量との間に負の相関が認められた。
4) これらの結果から, コレステロールを負荷しない条件下での食物繊維の血漿コレステロール低下機作として, ステロイド排泄増加, 胆汁酸分泌増加や盲腸内プロピオン酸増加などが考えられた。