日本栄養・食糧学会誌
Online ISSN : 1883-2849
Print ISSN : 0287-3516
ISSN-L : 0287-3516
45 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 河田 照雄
    1992 年 45 巻 4 号 p. 303-312
    発行日: 1992年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
  • 岡本 秀己, 灘本 知憲, 宮本 悌次郎
    1992 年 45 巻 4 号 p. 313-316
    発行日: 1992年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    健康な男子5名に, ナイアシンとトリプトファン制限下で, NiAを連続投与 (0mg, 25mg, 50mg/day各3日) し, 血液中NAD値とナイアシン値の経日変化および尿中MNA量とナイアシン量への影響について検討を行った。
    通常ナイアシン摂取レベルにおいては, 血中NAD値は, NiA投与量に関わらず, 26.2nmol/ml前後で維持され, 高い恒常性を示した。血中ナイアシン値は, 50mgNiA投与期で著しく増加し, 恒常性維持の上限が40~55mg/dayと推定され, NiA→NADの代謝速度が1.75~2.3mg/h程度である可能性が示唆された。
    尿中MNA排泄量は, NiA投与量に比例して直線的に増加し, 高い正の相関性が認められた。尿中ナイアシン排泄量は血中でオーバーフローした血中ナイアシンに呼応して, 投与NiA 50mgでわずかに増加したが, 少なくともNiA摂取65mg/dayでは大部分が体内で利用あるいは蓄積されると考えられた。
    以上より, ナイアシン当量制限下で, 同レベルのナイアシン投与を行ったときの3日目の尿中MNA排泄値が, 摂取ナイアシン量の指標となりうることが確認された。
  • 滝田 聖親, 中村 カホル, 鈴木 薫, 山梨 なお美, 印南 敏
    1992 年 45 巻 4 号 p. 317-323
    発行日: 1992年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    油脂のn-3/n-6比を5段階 (0.03, 0.14, 0.29, 0.60, 1.26) に変化させ, それらを15%含む高Chol飼料をSD系雄ラットに2週間投与した場合, 血清と肝臓の脂質改善作用ならびに脂質各画分のPUFAパターンおよびその比率と飼料油脂のn-3/n-6比との関連性について検討した。その結果は次のとおりである。
    高Chol食ラットにおける血清TCとPL濃度の低下にはn-3/n-6比0.14~0.29程度で十分であることが認められた。血清TG濃度は必ずしもn-3/n-6比に対応して変動しなかった。肝臓の各脂質濃度は飼料油脂のn-3/n-6比の影響を受けにくい傾向が認められた。
    血清と肝臓それぞれの脂質各画分のPUFA組成は, 一般的に油脂のn-3/n-6比の影響を受け変動した。両組織PL画分では, 油脂のn-3/n-6比の上昇に伴いC18: 2 n-6とC20: 4 n-6の割合およびC22: 6/C20: 5比は減少, C20: 5 n-3とC22: 6 m-3の割合およびn-3/n-6比とC20: 5/C20: 4比は増加した。油脂のP/S比の低下に応じて血清PLのP/S比は減少, 肝臓PLのP/S比には変動がみられなかった。両組織脂質各画分のC20: 4/C18: 2比は油脂のn-3/n-6比0.14以上の群で低下がみられた。このことはC18: 2からC20: 4への転換は, 比較的少量のn-3 PUFA (n-6 PUFAの約7分の1) で効果的に阻害されることを示唆している。
  • 竹久 文之
    1992 年 45 巻 4 号 p. 325-331
    発行日: 1992年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    コレステロール非負荷の条件で, ラットの血漿コレステロール, 糞および消化管内のステロイドと短鎖脂肪酸 (SCFA) に及ぼす食物繊維 (セルロース, パクテリアセルロース, リンゴパルプ, アラビアガム, グアガム, グアガム部分水解物) の影響を検討し, 次の結果を得た。
    1) グアガムのみが血漿コレステロール濃度を低下させ, 糞中排泄ステロイド量を増加させた。
    2) 全動物の血漿コレステロール濃度は糞中ステロイド量とは相関せず, 小腸上部胆汁酸量との間に負の相関が認められた。
    3) グアガム部分水解物群以外の群において, 血漿コレステロール濃度と盲腸内プロピナン酸量との間に負の相関が認められた。
    4) これらの結果から, コレステロールを負荷しない条件下での食物繊維の血漿コレステロール低下機作として, ステロイド排泄増加, 胆汁酸分泌増加や盲腸内プロピオン酸増加などが考えられた。
  • 李 連淑, 朴 眞我, 内藤 博
    1992 年 45 巻 4 号 p. 333-338
    発行日: 1992年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    離乳直後のSD系雄ラットを用い, カルシウム0.35%リン0.70%を含み分離大豆タンパク質をタンパク源とする飼料にカゼインホスホベプチド (CPP) を対カルシウム比にして0, 0.35, 2.5, 5.0, 7.5, 10倍量添加して, 4週あるいは8週間与え, それぞれカルシウム出納試験を行った。また, 試験終了時における血清カルシウム, 大腿骨カルシウムならびに破断力, さらに小腸内可溶性カルシウム量に及ぼすCPPの影響を検討した。
    1) 試験食で4週ならびに8週飼育後, 体重に大きな差はなくCPP無添加群に比較してCPP添加群はいずれもカルシウム出納は有意に向上した。血清カルシウムレベルはCPP添加群でわずかな上昇を示した。
    2) CPP添加の有効量を検討した結果, 飼育4週後のカルシウム出納は, CPP/Ca比0.35 (CPP約0.12%) 添加群以上で有意に増大して, 添加量の増加に伴う漸増傾向を示した。
    3) CPP無添加群に比較してCPP添加群は, いずれの群も, 大腿骨の重量ならびにカルシウム含量が増大した。しかし破断強度には影響はみられなかった。一方, 飼料摂取2時間後の小腸内の可溶性カルシウム量はCPP添加に伴い上昇した。
    以上のことから, 成長期で低カルシウム食餌のもとではCPP摂取により, 小腸管腔内の可溶性カルシウム量の増加に伴う吸収量の増大がおこり, 併せて, 糞中へのカルシウム排泄量が減少するため, カルシウム出納が正方向へ亢進するものと考えられた。
  • 島岡 巌, 栢下 淳, 中城 巳佐男, 森 繁弘, 糸川 嘉則
    1992 年 45 巻 4 号 p. 339-345
    発行日: 1992年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    カルシウムカゼイネートに微生物由来の中性プロテアーゼを作用させて調製した, カルシウムカゼインペプチド (CaCP) およびそれと同一組成のアミノ酸混合物 (AAM) を用いラットの門脈血経時的採血法によるin vivo吸収実験を実施した。その結果, CaCPはAAMに比較して, 腸管からきわめて速やかに吸収され, その吸収量も増加することが明らかとなった。また, 吸収されたアミノ酸の比率は, CaCPのアミノ酸組成と必ずしも一致しなかったが, 個々のアミノ酸の吸収量, および吸収速度をAAMと比較した場合, CaCPはとくに必須アミノ酸の吸収性に優れていた。これより, CaCPは腸管からの吸収性に優れ, 栄養学的な効果も期待できると考えられる。
    また, 本実験系に用いた門脈カテーテル留置ラットの作製方法について, 今回新たな改良を施した結果, 実験手技の簡便性をより高めることが可能となった。
  • 灘本 知憲, 浦部 貴美子, 川村 正純, 藤沢 史子, 安本 教傳
    1992 年 45 巻 4 号 p. 347-354
    発行日: 1992年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    日常から食品の防臭, 抑臭に用いられている調味料, 香辛料などの食品類, ならびに抗酸化, 殺菌作用の期待される試薬類, 処理がブタ小腸の悪臭発生, 揮発性成分量, 一般細菌数に及ぼす影響を検討した。
    1) 多くの食品類に悪臭発生の抑制作用を認めた。とくにたまねぎ, しそ, みそ, しょうがじょうゆ, 緑茶や, 香辛料, ハーブ類のセージ, タイム, クロープ, ナールスパイス, セルフィーユ, レモンパームは効果が顕著であった。このうち, しょうがじょうゆ, 緑茶, クローブは同時に一般細菌の顕著な増殖抑制効果を示した。
    2) 抗酸化, キレート, 殺菌効果をもつ試薬類, 処理にも抑臭効果が認められた。とくにBHA, EDTA, 昇こう, フェノールは官能評価, 一般細菌数の結果とも優れていた。
    3) 抑臭効果を有する食品類添加の際の一般細菌数, 揮発性成分量には統一した傾向は見られなかった. 官能的な効果が悪臭発生の抑制や矯臭などさまざまな因子の結果であることを示唆している。
    4) 抗酸化剤, キレート剤, 殺菌剤ならびに関連処理では官能評価に対応して主要揮発性成分量, 一般細菌数ともに減少した。ブタ小腸保存中の悪臭が, おもに微生物による腐敗や発酵の結果生成する揮発性成分, とくにイオウ化合物やアルコール類の生成に起因することが示された。
  • 苅谷 泰弘, 岡田 みゆき
    1992 年 45 巻 4 号 p. 355-362
    発行日: 1992年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    1) ビタミンB6の定量に用いられてきたStrepto-coccus faecalis R. ATCC 8043は, アラニンのそれぞれの光学異性体を利用して生育し, それぞれの光学異性体に馴養培養されたものは, アラニンやビタミンB6に対して異なる生育感受性を示した。
    2) 本菌は生育に際してはビタミンB6, あるいはアラニンのD-, L-いずれかの光学異性体を必須因子とするが, アラニンの一つの光学異性体が供給されると, 必要な他方の光学異性体への変換がなされることが示された。このアラニンの光学異性体間の相互異性化反応は, ビタミンB6非依存性のものである。
    3) 菌体構成アミノ酸の中で, アラニンはL-型が圧倒的に多く, 生育因子としてアラニンの個々の光学異性体, およびそれらの混令物, あるいはビタミンB6を用いても, L-型70~85%に対してD-型30~15%の割合であった。
    4) 本菌の生育時のビタミンB6の生理的役割の一つはアミノ基転移酵素のホロ酵素の形成にあり, アラニンではその役割が代替できない。また, アラニンは本菌の菌体構成成分の必須のものであり, 生育に際しては不可欠のものである。このアラニンで生育することによって, アミノ基転移反応酵素のアボ酵素を形成することは可能であるがホロ酵素は形成できない。
  • 橋本 光冬, 岩附 聡, 桑田 五郎, 今井 正武
    1992 年 45 巻 4 号 p. 363-365
    発行日: 1992年
    公開日: 2010/02/22
    ジャーナル フリー
    Glutathione in various foods was determined by HPLC separation, after extraction with 1% perchloric acid, which was effective for removal of protein and stabilization of glutathione in the reduced form (GSH). For determination of GSH and glutathione in the oxidized form (GSSG), the HPLC effluent was monitored by UV absorbance. For selective determination of GSH, it was converted to the N- (acridinyl) maleimide (NAM) derivative before HPLC separation, and monitored by fluorescence. Bound glutathione (B-GSH) was thoroughly reduced electrolytically with a 2-mA electrical current for 10min, enabling total glutathione (T-GSH) to be readily determined. Milk cocoa powder and canned drinks, i. e. orange drink, honey lemon soda, cocoa drink and oolong tea, were supplemented with yeast extract. They were then stored within a temperature range of 3 to 37°C for 3 months. At 3°C, the GSH content was maintained in all of the samples. At 37°C, 81% of the GSH content remained in milk cocoa powder, but only 10% remained in canned acidic drinks, i. e. orange drink and honey lemon soda. On the other hand, the content of B-GSH did not change over the tested temperature range in any of the foods. Thus it is suggested that the contents of GSH and T-GSH in food can be determined by a combination of the NAM method and the electrical reduction method.
feedback
Top