2020 年 29 巻 1 号 p. 97-103
目的:社会心理学において,人が行動に至るまでの段階を説明するモデルである計画行動理論がある.この計画的行動理論を基に看護師がAdvance Care Planning:ACP行動に至るまでの心理的段階である「ACPの行動意図」と,それに影響する要因を明らかにすることとした.
方法:対象は慢性呼吸器疾患看護認定看護師220名と呼吸器疾患に係わる看護師1100名の計1320名とした.調査方法は無記名自記式質問紙調査法とした.
結果:同意の得られた324名のうち321名を有効回答として分析を行った.「ACPの行動意図」を従属変数としステップワイズ法による重回帰分析を行ったところ,影響要因として呼吸器看護の経験年数,ACPへの思い,ACP行動に対する周囲からの期待,ACPの抑制要因である【難しさ】が抽出された.下位項目の周囲からの期待「患者・家族との話し合いの自信の無さ」や,【難しさ】「在宅療養への移行の援助」,「呼吸困難のアセスメントと緩和の介入」などが強い影響要因になっていた.