本研究では,ファストプランツの生活環が一ヶ月半と短いことに加え,室内での栽培が簡易であることに注目し,植物の一生について観察・実験する教材としての有用性を検討した。成長が早いことから,観察・実験の結果を比較的早く得ることができた。小学校5年生の「植物の発芽,成長,受粉・結実」のインゲンを用いた授業では,成長をみながら別の単元を挟んで実験が行われているが,ファストプランツでは,継続して約1ヶ月半で授業の単元を終えることができると考えられた。授業効率がよくなることから,児童・生徒は継続して意欲をもって学習できるとともに,観察・実験を実施する教師の負担も軽減されると考えられた。また,維管束の観察や花粉管の伸長,メンデルの分離の法則を親,雑種第一世代,雑種第二世代まで連続して確認できるなど,様々な観察・実験で教材として採り上げることが可能と考えられた。即ち,一つの教材でありながら,温度管理が難しい教育現場でも栽培可能で,観察実験のマルチ教材として活用できるメリットが考えられた。