土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
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高周波CSMT法の浅層探査への適応性
半田 駿
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2008 年 108 巻 p. 29-36

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抄録

地下浅部調査を目的とした高周波CSMT装置を用いて,鹿児島県出水市針原川右岸の斜面崩壊跡地,及び同薩摩川内市でのシラス堤防の調査を実施した。針原川では,斜面崩壊により埋められた幅 20 m程の平地を利用して探査を実施したが,電極間隔が4mと短いことにより,比抵抗モデルが構築可能となるデータが得られた。得られたモデルから,崩壊斜面側で,不透水性の凝灰角礫岩上に帯水層と見られる低比抵抗層が存在すること,推定断層を挟んだ反対側には見られないことが明らかになった。このことは,斜面崩壊の機構解明に重要な知見を与えるものである。また,2回の川内川シラス堤防での調査の比較から,湛水後約3.5ケ月には乾燥を示す高比抵抗域が増加することが明らかになった。これらの結果はいずれも,高周波CSMTの地下浅部探査に対する有効性を示すものである。

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© 2008 土壌物理学会
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