2020 年 63 巻 p. 29-36
金鉱石から金を取り出すには,アルカリ性シアン水溶液にて,安定な金シアン錯体として抽出して濃縮する。ところが,グラファイト質金鉱石では,鉱石に数%のグラファイト質が混ざっているために,シアン錯体の形成段階で,錯イオンがグラファイト質に吸着するために,30–70%の金回収率のロスが生じる。このために,グラファイト質金鉱石は超難処理とされ,開発対象から外れているのが現状である。本稿では,酵素処理をくみこむことによって,グラファイト質金鉱石の金回収率を20%台から90%以上に向上させるバイオプロセスを紹介する。