2020 年 63 巻 p. 102-106
近年,医薬部外品の効果効能に「シワの改善」が新たに認められたことで「真皮シワ(大ジワ)」をターゲットにした機能性化粧品の需要が高まってきている。「真皮シワ」は,真皮に存在し肌の土台を形成するコラーゲンやエラスチンの変性や産生量の減少が原因となって生じるため,両成分の産生を担う皮膚深部(真皮層)の繊維芽細胞の賦活が重要である。しかし,真皮層は強固なバリア層である角質層を含む表皮の下に存在し,さらに有効成分の濃度維持が困難なエリアであるため,「真皮層への浸透性」と「真皮層内での作用持続」を叶え得るDDS(Drug Delivery System)の要素が重要である。
本稿では,著者らの提唱する皮膚深部への成分送達性と持続性をもつDDS材料であるPLGAナノ粒子を用いた真皮シワの改善評価について紹介する。