2021 年 64 巻 p. 3-8
快適な日常生活を支える生活必需品から,高度な先端技術を支える高機能性材料に至るまで,粉体が使用されることが極めて多くなっている。最終製品が粉粒体の場合,製品特性に対する粉体の寄与は明らかであるが,原料あるいは中間体においても粉体物性が最終製品の性能を決定する場合が多く,粉体の役割は極めて大きい。また,科学技術の進歩に伴い,粉体に求められる要求はますます多様化,高機能化および微細化の傾向にあり,粉体材料をいかに効率良くハンドリングするかによって,製品品質はもちろんのこと,その製造効率が大きく変化する。従って,粉体の特性を理解し,その機能を最大限に発揮するための手法を扱う粉体工学は,あらゆる科学技術の基盤であると言っても過言ではない。本稿では,大学生を対象とした粉体工学の啓発活動を目的としたシンポジウムにおいて発表した講演内容を紹介する。