抄録
次世代シークエンス解析により,二極性担子菌<i>Rhizopogon reseolus</i>の交配型遺伝子および交配型関連遺伝子24個を同定した.このうち,2個のホメオドメインタンパク質遺伝子,4個のフェロモン受容体遺伝子,きのこのA交配型遺伝子座周辺に保存されている18個の遺伝子を含んでいた.24個の遺伝子は3種類のノード(組み立てたコンティグの核酸配列)にクラスタ化した. フェロモン受容体遺伝子であるRcb1とRcb2の2つはNode8230上でHox遺伝子と密接に連鎖し,A2-Rcb1とA2-hox2間の距離はわずか875 bpであった. 他の2つのRcb遺伝子(A2-Rcb3および A2-Rcb4)はNode11781に位置していた.他のきのこにおいても,A交配型遺伝子座周辺にされている6つの遺伝子は,ノード 880に見いだされた.一塩基多型解析による連鎖解析の結果,3つのノードに位置する24の遺伝子は遺伝的に連鎖しており,3つのノードは1つの染色体の塩基配列の一部を構成していることが明らかになった.我々は,A交配型遺伝子座が位置する染色体は,この二極性きのこの古代種において,A交配型遺伝子群とフェロモンおよびフェロモン受容体遺伝子群の間で組換え現象が起こった可能性があると仮定した.