糖質加水分解酵素(Glycoside hydrolase, GH)は糖鎖分子内のグリコシド結合を加水分解する酵素群であり,セルラーゼやヘミセルラーゼといった植物多糖への分解酵素や,β-1,3/1,6-グルカナーゼやキチナーゼといった自身の細胞壁多糖への分解酵素など,きのこ類の生活環において必須の酵素群である.本総説において主に述べるシイタケでは,現在のところ15種程度のGHが同定・特性解析されているが,そのゲノム情報からは250種にも及ぶGHの存在が示唆されている.著者らは,木材分解中のペクチン分解に寄与するポリガラクツロナーゼや,子実体や菌糸の自己消化に関与するβ-1,3/1,6-グルカナーゼなどをシイタケから単離し,その特性を明らかにしてきた.これら酵素群はシイタケ菌床にも存在しており,その機能と役割を解析することは,新たなシイタケ品種の育種や,きのこ栽培の理解に繋がる.
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