2023 年 2023 巻 15 号 p. 77-
果樹を加害するカメムシの主要種であるチャバネアオカメムシ成虫において,未交尾の雌雄成虫がパルス状の振動を発生することを初めて確認した.とくに,雌成虫では腹部を頻繁に上下方向に動かす行動が観察された.発生した振動のパルスの長さは約 0.18 秒,加速度は約 0.16 m/s2,優位な周波数は 150 Hz,実効値(優位周波数における加速度の二乗平均平方根)は0.006 m/s2であった.また,動画解析より算出したパルスの頻度は 1 秒当たり 7.5 回,振幅は約 0.077 mm であった.したがって,チャバネアオカメムシの成虫が雌雄および個体間の交信に基質を伝わる振動を用いていることが示唆されるとともに,人為的な振動を用いた行動制御技術を適用できる可能性が高まった.