近年の北海道では稲プラス露地野菜の大規模水田作複合経営の形成が課題とされている.そのなか,同複合経営が展開する道南地域が注目された.そこで,本稿は道南地域の農業構造を把握するとともに,大規模水田作複合経営の存立条件を明らかにした.
その検討結果は次のように整理される.第1に道南地域では(1)借地流動化が進み,経営規模も拡大するとともに,(2)野菜作のウェイトが高い実態にあった.(3)稲作と野菜作との複合経営展開という点から見ると,胆振が代表的地域となっていた.第2に胆振管内X町の大規模水田作複合経営の存立条件としては,雇用型法人経営のもと,(1)露地野菜作遂行に常雇を複数確保していたこと,(2)水稲,露地野菜の作物ごとに大面積農地の団地が形成されていたことがある.
抄録全体を表示