日本食品科学工学会誌
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シガレット包装用紙材料の機能評価法の開発
白井 敦也宮内 正人中西 幸雄
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2006 年 53 巻 11 号 p. 572-579

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抄録

アルミホイルや高分子フィルムなどに変わる環境に優しい紙材料から成るシガレット包装材料の開発を促進するため,包装材料の水およびメンソールの移動を抑制する機能の評価方法について検討した.まず,たばこ製品からの吸着成分の移行を表す数学モデルを構築し,3つの物理化学的な性質,すなわちたばこへの吸着平衡関係,包装材料の透過係数およびシガレット充填層の見掛けの拡散係数が吸着成分の移行速度を支配していることを明らかにした.水とメンソールについてこれらの性質を実験によって求め,円筒状に束ねたシガレットから得られた実験値と計算から求めた値を比較して数学モデルの妥当性を確かめた.最後に,種々の材料で包装したたばこ製品の蔵置中の水とメンソール含有量の変化をシミュレートした.その結果,紙材料では水の移行を抑制することはできないが,ろうをコーティングすることによってメンソールの透過性を大きく下げることができるとわかった.これらの結果からろうをコーティングした紙は高分子フィルムの代替となりうる可能性を持つことが示唆された.以上,包装材料の機能は,その透過係数を測定すれば,本研究で提示したモデルによってそのポテンシャルを十分に予測・評価できると結論できた.

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© 2006 日本食品科学工学会
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