2006 年 53 巻 11 号 p. 580-582
カキ‘平核無’果実を用いて,樹上脱渋処理の時期と収穫後の脱渋果の冷蔵貯蔵期間が果実の不溶性タンニンの可溶化(渋もどり)の難易に及ぼす影響を調査するとともに,樹上脱渋果の渋もどりのしやすさを炭酸ガス脱渋果,アルコール脱渋果,干し柿およびあんぽ柿と比較した.
その結果,樹上脱渋果は脱渋処理の時期が早いほど収穫時の果実は渋もどりしにくかった.また,樹上脱渋果では収穫後の冷蔵貯蔵期間が長くなるにつれてしだいに渋もどりしにくくなる傾向が認められた.この傾向は,早い時期に脱渋処理した果実より遅い時期に処理を行った果実の方が明確であった.
樹上脱渋果の渋もどりのしやすさは炭酸ガス脱渋果とはほぼ同等で,アルコール脱渋果より渋もどりしにくかった.最も渋もどりしにくかったのは干し柿とあんぽ柿であった.